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カウンセリング心理学と臨床
カウンセリング(Counseling)の定義
日常用語としてのカウンセリング
―日常用語としてのカウンセリングには、面談、個別相談、助言という意味があるとされる e.g., ビューティカウンセリング、カウンセリング販売etc…… ―心理学専門用語としてのカウンセリングの内容的意味がおおよそ含まれている
一般の相談とカウンセリングの相違点
―カウンセリングはクライアントと、カウンセラーの出会いから始まることが原則 ―二人の出会いの仕方に関する、一般相談とカウンセリングの3つの相違点
1. 関係の純粋性(独立性)
―専門の心理カウンセリングは、母親が子どものカウンセリングをするような二重の関係性をもたないことが原則 ―関係の純粋性ゆえに、世間体を気にせずクライアントは自分の本当の気持ちを語ることができる
2. 目的の純粋性
―一般の相談においては、カウンセリングが別の目的の手段となることがある ―専門の心理カウンセリングにおいてはカウンセリングだけを目的として関係が設定される ―他の目的のためにカウンセリングを手段として活用することはしない ―これによって、クライアントとカウンセラーは、雑念なく純粋に向き合い、心の交流に専念できる
3. 構造の明確化
―一般の相談では、「いつでも、どこでも」という即時性の利点がある ―関係と目的の純粋性を犠牲にしたうえで生まれる利点 ―専門のカウンセリングは、枠を作ることが重視されている ―ルールを決め、守った上で、温かい率直な相互作用を展開する
引用文献:
総説カウンセリング心理学
カウンセリングの定義(福島, 2003)
―カウンセリングは、何らかの個人的問題で援助を求める人(Cl)が、専門的訓練を積んだ人(Co)との言語的・非言語 的作用を通して、自己理解を深め、人生において遭遇する困難を克服して、個性を生きることができるように、側 面から支援する援助活動である ―「個人的問題」とは、「自分のことで相談に来る人」であり、議論の場ではない ―「自己理解を深める」とは、ClがCoとの相互作用を通して新しい視点から自分の経験を捉えなおす事 ―「個性を生きることができる」とは、自分らしく生きていくこと、つまり個性の実現がカウンセリングの成果
引用文献:
総説カウンセリング心理学
カウンセリングの定義(日本カウンセリング学会, 2004)
―カウンセリングとは、カウンセリング心理学等の科学に基づき、クライアント(来談者)が尊重され、意思と感情が 自由で豊かに交流する人間関係を基盤として、クライアントが人間的に成長し、自立した人間として充実した社会 生活を営むのを援助するとともに、障害において遭遇する心理的、発達的、健康的、職業的、対人的、対組織的、 対社会的問題の予防または解決を支援する。すなわちクライアントの個性や生き方を尊重し、クライアントが自己 資源を活用して、自己理解、環境理解、意思決定および行動の自己コントロールなどの環境への適応と対処などの 諸能力を向上させることを支援する専門的援助活動である。また豊かな社会生活は人の主体的生き方を保証する条 件であり、人の福祉に貢献する条件でもある。つまりカウンセリングは社会的環境と密接に関係しており、カウン セラーは、調和のとれた人間関係、集団、組織及び社会の維持や改善など、社会環境の整備に貢献する
引用文献:
総説カウンセリング心理学
KEWORD:
カウンセリングの定義
カウンセリングと臨床心理学
臨床心理学の諸理論の取り込み
―カウンセリングの本来の目標は、より良い適応と健康な発達の援助 ―問題行動の治療や改善ではない ―ロジャーズの著書と研究によってカウンセリングと心理療法の壁が低くなった ―心理療法の考え方と技法がカウンセリング実践に活用されるようになる ―カウンセリングと心理療法が、対象と問題の重篤度によって区別される試みも現れる e.g., カウンセリングは軽いクライアントを対象とし、心理療法は重篤な患者を治療する ―ただし、この区別には問題も指摘されている
引用文献:
総説カウンセリング心理学
臨床心理・心理療法とカウンセリング
―臨床心理学とカウンセリング心理学は異なる歴史を持って独自に発展してきた ―ロジャーズの非指示的・クライアント中心療法の提唱によって、相違を小さく捉える関係者も少なくない ―それによって互いに利益もあったが、互いの本質の理解と展開を妨げてきた
心理療法とは(福島, 2008)
―対象と方法を明確にして疾患の理解と治療に専心し、その効果を高めて社会の期待に応えること ―ガイダンスから始まり、人の生き方の自己決定に焦点化するカウンセリングとは異なる ―カウンセリングの名のもとに領域拡大と顧客増に走ることは本来の特徴を失うことにつながる
対象と問題の重篤度による区別はなぜ問題なのか
―渡辺(1996)のアメリカ心理学会の「心理学的援助活動実践のための指針」をもとにした規定より ―カウンセリングの目標は、問題行動の除去や治療ではなく、より良い適応と成長、および個人の発達を支援すること
引用文献:
総説カウンセリング心理学
KEWORD:
カウンセリングと心理療法
カウンセリングの基本的態度と技法
基本的態度
―カウンセラーの必須の態度条件として広く受け入れられる中心的、カウンセラー必須の三つの態度条件(Rogers, 1957) @無条件的受容(Unconditional Positive Regard) A共感的理解(Empathic Understanding) B自己一致(Congruence)
無条件的受容について
―Unconditional Positive Regardの訳語については議論があり、その訳語毎に新しい意味合いが加わっている ―友田(1963)の訳では、無条件の積極的尊重と訳出された ―クライアントを積極的に肯定する姿勢は無理が生じ、無条件の積極的尊重は現実には不可能に近いという批判 ―顧慮や肯定的配慮と訳されたが、それも適切でないとなり、現在の「無条件的受容」と訳されるようになる ―しかし、無条件的受容に関しても批判はある
ポスト「無条件的受容」
―無条件的受容ではクライアントの言動や現状に対する受け止め方という意味あいが強い ―クライアントに向ける尊敬や好意・愛情のようなプラスの感情的成分が薄まり、ロジャーズの意図と異なるという指摘 ※詳細は、引用文献の福島(2008)の論述を参照
引用文献:
総説カウンセリング心理学
基本的技法
―カウンセラーの基本的態度は、実践においてクライアントへのカウンセラーの行動に現れる ―基本的態度は基本的な技法となってカウンセラーの行動をガイドすることになるという事も出来る ―実際に用いられる技法は、取り上げる問題、クライアント、カウンセラー、展開される場毎に異なるが、共通性もある ―共通する基本的な技法がモデルとして組み込まれ、提案されてきた e.g., アイビーの技法階層モデル、イーガンの3ステージ×3ステップ援助モデル、カーカフの3段階相互作用モデルetc……
@アイビー(Ivey, A. E.)による技法の階層
―他者へのかかわり行動、問題を理解解決し援助する行動、それらを効果的に組み合わせて面接を組み立てるという3成分を同定 ―マイクロカウンセリングの考え方につながる ―かかわり行動、基本的傾聴の連鎖、面接の五段階構造、対決、焦点の当て方、意味の反映、積極技法、自己開示、 論理的帰結、解釈、フィードバックが提案されている
かかわり行動(Attending)
―クライアントを受け入れるカウンセラーの態度を意味する 1. クライアントに視線を合わせる 2. クライアントの語るストーリーに耳を傾ける 3. 声や顔の表情や姿勢を理解する 4. カウンセラーが声や顔の表情や姿勢で温かい関心を向けてクライアントの自己開示を励ます
基本的傾聴の連鎖
―4つの技法が挙げられている 1. 開かれた質問、閉じた質問 ―クライアントの語りを促すために効果的で、自由な自己開示を導くための方法 2. クライアント観察技法 3. 励まし、言い換え、要約 ―語りを励まし(短い応答や、重要な言葉の反復)、言い換え、要約することでさらなる自己開示と理解の共有を促進 4. 感情の反映 ―今、ここで生じているクライアントの感情に注目し伝えるとともに、言葉の奥にある感情にも注意を向ける必要
面接の5段階構造
1. ラポール ―カウンセリング関係を設定し、クライアントとの間に安心と信頼の関係を気づくことが最初の課題 2. 問題の定義づけ ―クライアントの主訴と関連する情報を中心に、クライアント自身から情報収集し、問題を明確化、特定化する ―成育歴や社会環境についてもよく吟味する 3. 目標設定 ―カウンセリングで何を目標とするか、どういう姿が到達点であると考えるかについて話し合い、具体性のある目標を決定 4. 選択肢の模索と決定、物語の書き換え作業 ―問題と目標を結ぶ道筋を吟味し、可能な解決の道筋を決定し、実現向けて生活改善を行う 5. 一般化 ―日常生活への一般化を含めたカウンセリングの成果を目指す
対決(Confrontation)
―クライアントの矛盾をかかわり技法や言い換えによってフィードバックし、矛盾に取り組むことを励まし、援助する一連の行動 ―対決はクライアントに戸惑い、不快感、さらなる回避の傾向を招くことにもなりかねない ―十分な信頼感とかかわりの経過を踏まえて導入される必要がある
焦点の当て方
―漠然としたクライアントの語るストーリーにコンテクストを与える効果的な方法 ―1. クライアントに、2. 主題に、3. 他者に、4. 家族に、5. カウンセラーに、6. 文化的・環境的脈絡について焦点をあてる ―福島(2008)は、クライアント自身と主題に焦点をあてるようにガイドすることで、自己理解を促進できるとしている
意味の反映
―クライアントが既に持っている考えや、気づきかけているが不明確な意味を、カウンセラーが受け取りクライアントに返す技法 ―クライアントは、意味の反映を受けて、改めて自分にとってのその事の意味に目を向けることができる ―次の積極技法、解釈の技法へと展開する大切な役割を担うことができる e.g., 「それはどういう意味ですか?」
積極技法
―これまでのカウンセリングの流れをさらに一歩進めて、新しいストーリーを構成するための促進を図る技法 ―洞察により、新しいストーリーが語られ、これまでとは異なる行動へと展開し、認知の行動の変化と成長がもたらされる ―カウンセラーの主導によって行われる6つの技法から構成される 1. 指示 ―共同的関係における提案として、温かい態度で、かつ内容は率直に表現することが重要 2. 情報提供・意見・示唆・助言 ―必要な情報提供をして、クライアントの主導性を損なわないように気をつけ、内容を具体的に明確に提示すること 3. 自己開示 ―クライアントに関係した、カウンセラーの独り言と言えるカウンセラーの行動 ―賛否両論あるが、どういう場面でどういう自己開示をするかで、意見が分かれる 4. 論理的帰結 ―クライアントのifの考えや行動について論理的に予想できる結果をカウンセラーから示し、どうするかと考えるよう提案する 5. 解釈 ―クライアントの経験や心理状態について、カウンセラーの枠組みから捉えて、クライアントに考える素材を提供すること ―クライアントは新しい枠組みによって、自分の問題を再検討することになる 6. フィードバック ―クライアントが他者からどうみられているかについて情報を与えること
技法の統合
―実際のカウンセリングにおいては、クライアントに応じ、問題に応じて、面接の5段階構造の中に、技法を柔軟に展開する必要
引用文献:
総説カウンセリング心理学
Aイーガン(Egan, G.)の9ステップ援助モデル
―人生や生活上の課題に遭遇している人に援助するための統合的な援助モデルを提案し、各ステージとステップを援助する技能を同定 ―援助過程は3つのステージでそれぞれ3つのステップに分けられ、各ステップにおいて、どう目標が達成されたかの評価が重視される
ステージ1; 問題状況や新たな可能性の確認と明確化
―クライアントの問題状況や新たな機会について、話し合って、探索し明確化すること、つまり現在のシナリオを扱う事 ステップ1(経緯の語りを援助) ―援助過程は、自分の経験を「こういうことがあり、その事で困っている」と、いきさつを話す事から始める ―カウンセラーは問題状況の全体像を客観的に捉えようとする ステップ2(問題のスクリーニング、焦点化、明確化) ―クライアントの問題状況がカウンセリングの対象として取り上げられるものか、どの面から取り上げることが良いかを判断 ―特に何がこの問題の中心であるかについて焦点化を行って、クライアントが心配事を明確にするよう、援助することが大切 ステップ3(盲点と新しい展望) ―「自分のことだからこそ見えない、分からない現実の姿」について、クライアントに寄り添い、盲点に気づくよう援助すること ―固い固定的な枠を外して、自分と周囲に関するイメージを自由に膨らませて創造的に感じ考えるように援助することが肝要
ステージ2; 目標設定(望ましいシナリオ作り)
―どうなると良いかという目標設定のための援助の段階。変えたい事は何か、どう変われたら良いかを考え決めるように援助する ステップ1(新しいシナリオの構成) ―現在のシナリオの幾分か控えめな改善であり、行動論のスモールステップに基づく説明がなされる ―「いっそう建設的な行動パターン」になるよう、色々な事項を思いつくように援助することが必要 ステップ2(新しいシナリオの批評) ―作ったシナリオについて、クライアントがそれらを批評できるように援助することを重視する ―提案して自己批判することによってクライアントの主体的取り組みを促す ―具体性、現実性、実現可能性、明確さの基準とクライアントの価値観や生活心情との適合性が批評の観点 ステップ3(選択と注意) ―クライアント自身が新しいシナリオを着想し、関連する項目を考案し、カウンセラーと一緒に吟味し、選択し、決意することを重視 ―カウンセラーは出来る限り最終決定をクライアントの責任において行うように粘り強く待つことが肝要 ―クライアントの自己決定が十分に可能になれば、次の実行の段階への移行の可能性がみえてくる
ステージ3; 実行(望ましいシナリオに向けて行動する段階)
―新しいシナリオを着実に履行するための援助が必要 ―実行はクライアントの問題だが、次第にあいまいになって不実行に終わる危険性があるため ステップ1(実行のための手段の吟味) ―望ましい目標は実行が困難な目標であることが多いため、履行可能な手段を現実的に模索する必要が起こる ―目標を最終到達点において、そこに至る手段として下位目標を立てるなど ステップ2(実行のための手段の選択と計画立案 ―実行するための色々な選択肢が決まったところで、クライアントはカウンセラーの協力を得て、それらをもう一度検証する ―次の実行の様子によってまた見なおされる ステップ3(実行) ―実施段階になっても定期的にカウンセリングの予定を組み、実現状況をモニタリングして話し合うことで、次の実行をリハーサルする
イーガンの5つの基本的傾聴技法
―援助過程の各ステージ・ステップにおいて、クライアントと効果的に関わり援助するための5つの道具 1. かかわり技法 2. 傾聴技法 3. 共感技法 4. プローブ 5. 促進技法 ―個々をバラバラに使うのではなく、人間性の一部として統合されて実践の中で生きるものとであると考える必要
1. 3つのかかわり技法
a. マイクロスキル ―真正面、開放的な姿勢、状態を乗り出す、視線合わせ、適度なリラックス b. 身体の状態への気づき ―カウンセラーがクライアントに向けて発信している自己の状態を自覚し、調整に努め、有効に活用すること c. クライアントに対する存在感 ―カウンセラーの言葉や行動を通して現れるクライアントに対するカウンセラーの存在感に気づき、とらわれないでいる事
2. 積極的傾聴(Active Listening)
a. 非言語行動の観察理解に重要な6つの手がかり ―姿勢・身振りやしぐさ、微笑みや口元などの表情、声の高低や強さや間、赤面などの自律神経反応、体格や体型、身だしなみ b. 言語的メッセージの傾聴・理解の3つの手がかり ―クライアントの経験、クライアントの行動、クライアントの感情 c. クライアントの経験と行動の総合的把握と個性理解に重要な3つの点 ―基本的な共感的傾聴と理解、より深い共感的傾聴と理解、共感をこえてクライアントが関わっている現実を傾聴し理解する d. 傾聴と理解に際して注意し改善することとして、次の点が指摘されている ―妨害要因(クライアントの魅力、過剰の熱心さ、類似と隔たり)、評価的傾聴、フィルター(先入観や偏見)を通した理解、同情的傾聴
3. 共感の3つの面
a. 情緒的共感; 他者の状況を見聞して感情的に反応する能力 b. 役割取得的共感; 他者の心の状態、体調、物の見方や考え方などを理解する能力 c. コミュニケーション技能としての共感; 情緒的共感と役割によって得た共感を伝達する能力 ―カウンセリングでは、役割による共感とその表現が中心になるが、それを通して情緒的共感に代わるのが自然な流れ(Egan, 1986) ―カウンセラーのコミュニケーション能力として、気づき、技能、アサーティブネスの3要素が重要とされている
4. プローブ(Probe)
―カウンセラーがクライアントとともに、心の働きを探る行動や背後にある要因や状態を確かめる意味でつかわれる ―話をさせて問題を探るためのコメントは、クライアントを受け身にすることが案じられるため、クライアントにリードを戻す事も大切
5. 促進技法
―クライアントの矛盾や現実離れした話に、質問の形で疑問を呈示し、現実検討することは促進(Challenge)と呼ばれる ―クライアントの自己理解を促進することが期待される ―「対決」はイーガンのモデルでは促進技法の中に含まれる ―促進技法の目標 a. 経験、行動、感情を見直し、新しい観点から理解するように援助する b. 行動の結末を探索するように援助する c. 実行に移すよう援助する d. 自分の問題を認めるように援助する e. 自分から促進するように導く
引用文献:
総説カウンセリング心理学
カーカフ(Carkhuff, R.R.)の3段階相互作用モデル
―援助技法を一般の援助関係に拡張して援助者(ヘルパー)と被援助者(ヘルピー)の3段階相互作用モデルを提唱 ―援助の過程を援助者の過程と被援助者の過程の社会的相互作用過程としてモデル化したことが特徴 ―イーガンがカウンセリング技術の高度化と精緻化を志向したのに対し、より一般化を志向したモデル
洞察論と行動論の両者を組み込む
―カウンセリングと心理療法の2つの大きな流れを1つの援助技法として統合することを志向した 1. 精神分析、新精神分析、クライアント中心主義、実存主義など洞察の仕方次第で効果的な機能性が回復するとする見方 2. 新たな条件づけによる機能性回復や過去の非効果的な情動反応やオペラント行動の変容を図ろうとする見解 ―洞察と行動の相互作用の循環をモデルに組み込んだ
ヘルピーの役割の重視
―問題を解決するのはヘルピー自身の役割 ―援助過程に参入して、自己の経験を探索し、目指すべき目標を把握し、自己理解に取り組み、計画を立て、行動を起こすことがもとめられる ―ヘルピーの役割として、探索―理解―行動化がフィードバックを経て反復されることで、成長と発達がもたらされる
ヘルパーの役割
―ヘルパーの役割はヘルピーの参入、探索、理解、行動化のそれぞれの段階が円滑に進むように支援すること ―ヘルパーの内面的成長を手助けするために、援助的人間関係技法を展開すること ―技法の基本は次の4つ 1. 物事をヘルピーの視点を通して捉える事(かかわり技法) ―援助の第一ステップであり、何回の相談を経て援助活動が終結するまで持続する 2. ヘルピーが問題としている経験に的確に応答すること(応答技法) ―ヘルパーの経験の語りにヘルパーが反応する際の技法 3. 問題と目標を自分のものとして捉えること(意識化技法) ―ヘルピーの経験、感情、考え方、目標をヘルパーが自分のものとして捉えて応答する技法 4. 問題解決と目標達成のための具体的行動の方向を手ほどきする事(手ほどき技法) ―カウンセリングによって自己理解を現実の行動へと展開する段階
引用文献:
総説カウンセリング心理学
カウンセリングプロセスと基本技法の共通性
―代表的な3つのモデルに共通する事項 ―カウンセリングがおよそ3〜4つの段階を踏み、それぞれの段階に応じて技法が展開されること ―そのほかに重要な4つの段階が共通する(福島, 2008)
1. 関係調整
―クライアントを迎えるカウンセラーの受け止めに関するもの ―アイビーのかかわり行動、イーガンのかかわり技法、カーカフのかかわり技法 →カウンセリングの第一歩は関係調節
2. 理解の交流(話すよう励まし、傾聴し理解を伝える)
―カウンセリングは聴くことを最大の仕事成分としている ―アイビーの基本的傾聴技法、イーガンのステージ1、カーカフの応答技法による自己探索
3. 心の場の探索と内的モデルの再構成
―カウンセリングは認知的再構成を援助する活動である ―アイビーの対決、焦点化、意味の反映、イーガンのステージ2、カーカフの個人化技法による意識化によって自己理解を導くこと
4. 行動調整
―現実の人間関係の改善や仕事の仕方を工夫することに援助する段階 ―アイビーの技法の階層における積極技法、イーガンのステージ3、カーカフの手ほどき技法による行動化 ―この4つは基本的にどのような立場のカウンセリングにおいても含まれている成分だが、その重きのおき方が立場によって大きく異なる ―精神分析学派はクライアントの心の場の探索と内的モデルの再構成に傾注する傾向が強い ―人間学派は関係調整と理解の交流によるクライアントの気づきを同伴する傾向が強い ―行動と認知行動の学派はこう同調性に最初から焦点化する傾向が強い
引用文献:
総説カウンセリング心理学
KEWORD:
カウンセリングの基本的態度、カウンセリングの技法、無条件的受容、共感的理解、自己一致、アイビーの技法階層モデル、イーガンの3ステージ×3ステップ援助モデル、カーカフの3段階相互作用モデル
→臨床心理学の用語一覧へ