態度と行動の一貫性
態度は、もともと行動のもととなる心理的な状態と定義されており(“態度とは”参照)、態度と行動の一貫性は高い関連を持つ
e.g.,投票の意向と実際の投票、商品の好みと購買行動、健康志向と健康にかかわる行動etc…(Sheeran, 2002)
―偏見などの社会的に望ましくない態度は、これを隠そうとする傾向があり、態度と行動が一致するわけではない
引用文献:社会心理学 (New Liberal Arts Selection)意識的過程の影響合理的行動理論(Theory of Reasoned Action)
行動の先行条件のうち、行動に対して最も大きな影響を与えるのが意図(Fishbein & Ajzen, 1975)
―意図は、「行動に関する態度」と、その行動をすることに関する「主観的規範」の2つで規定される
→事物に対する態度ではなく、ある特定の行動をすることについての態度を論じている
行動に関する態度を左右する要因
―行動の結果に関する予期
―行動の結果への価値判断
行動に関する主観的規範を左右する要因
―準拠する他者の考えについての信念
―準拠する他者に従う動機づけ(従いたいと思うか)
→後にアイゼンは、この理論に「行動統制感」を加えた、「計画的行動理論(Theory of Planned Behavior)」を提唱(Ajzen, 1991)
引用文献:社会心理学 (New Liberal Arts Selection)非意識的過程の影響
態度が行動を導く過程には、自覚的で意識的なものだけでなく、非意識的なものもある
―実験室に鏡があると、自身の態度と行動の不一致に気づきやすくなり、態度と一貫した行動を取りやすい(Monteith & Mark, 2009)
→鏡に自分が写っているのだから、行動を変えようと考えているわけではない
―態度が内的に活性化すると、これと一致した行動が生起しやすい
→態度が活性化するとは、態度対象である概念が活性化すること(“連合ネットワークモデル”を参照)
態度活性化の効果の実証例
―アメリカ人が「We」という単語を見た後では、「They」を見た後よりも、信頼できるなどの好ましい
意味を持つ単語に対する反応が早くなる。これは自分の所属する集団への好意的態度が活性化したた
めであるとされている(Perdue et al., 1990)
引用文献:社会心理学 (New Liberal Arts Selection)態度と行動の二重過程
態度と行動の関係を規定する心理過程には、意識的な情報処理と非意識的な処理の「二重過程」が関わる
MODEモデル(Motivation and Opportunity as DEterminants: MODE)Fazio, 1990
態度と行動の関連に関して、意識と無意識の「二重過程」を想定したモデル
―態度や意図への意識的な熟考が行動を導く過程が生起するには、態度を意識的に想起することへの動機づけと機会が必要
→多くの実証研究を生んでいる(Olson & Fazio, 2009)
引用文献:社会心理学 (New Liberal Arts Selection)