他者の属性を判断するだけでなく、状況に応じて変化する他者の心的状態を推論する事もある
心的状態の推論に用いる2つの方略
@自分の心的状態の投影
Aターゲット人物のステレオタイプの利用
―ターゲット人物と自分の類似性がいずれの方略を利用するかを決定(Ames, 2004)
→似ている場合には自分のことが、似ていない場合はステレオタイプが利用される
引用文献:社会心理学 (New Liberal Arts Selection)特定の状況にある他者の心的状態の推論
―現在の自分とは異なる状況にいる他者の心的状態を推論する事もある
―自分だったらどうするかを推論し、それをあてはめる形で他者の心的状態を推論する(Van Boven et al., 2005)
ヴァンボーヴェンの実験(Van Boven & Loewenstein, 2003)
―実験参加者にハイキングに出かけて遭難した人たちが、「のどの渇き」と「飢え」とのどちらに、より
苦しむと思うかを想像させる課題を行った。実験はスポーツジム内で行われ、半数の参加者は、ランニ
ングマシンで汗をかいた直後に回答した。すると、運動をしていない参加者は、飢えに苦しむだろと推
測したが、運動後に質問に答えた参加者は、のどの渇きに苦しむだろうと推測した。つまり、運動して
のどが渇いた参加者は、自分のその状態をあてはめて遭難した人の心的状態を推測したと言える
ナイーヴ・リアリズム(Naive Realism)
―自分は世界をありのままみており、客観的な見方をしていると考える傾向
―他者の心的状態を推論する際に、自分の心的状態を投影する基礎となっている
引用文献:社会心理学 (New Liberal Arts Selection)ナイーブ・シニシズム(Naive Cynicism)
―他者の考えを推測する場合に、相手が相手自身にとって都合のよいように考えると推測する傾向
―2人で共同作業をした後で互いの貢献度を考えるなど、動機などによって推論が歪みやすい状況で生じやすい
―背景には、他者は自分よりもさまざまなバイアスから逃れられないと考える傾向が潜んでいる
引用文献:社会心理学 (New Liberal Arts Selection)